「ああ!おまえ変だしな」



饅頭を受け取りながら笑うたつや。



「アンタ良い奴ですねィ。おとつっあん、おかつっあんとは違い人種ですぜィ」



それから、俺達は紫海の事を忘れて屋敷に戻ったのだった。その晩…栗饅頭が大広間のテーブルにズラリ並んでいた。



どうやら慎之介は、栗饅頭が好物みたいで、慎之介の為にあらゆる地方から集めたのが並んでいるようだ。



「うわ~、あたし初めて!」



紫海は、喜んでいる。その表情が可愛くて思わず紫海を抱き寄せる。
真っ赤な表情の紫海を見ながら、一つ栗饅頭を持ち紫海の口元に運ぶ。



最初は、恥ずかしくてなかなか開けない口も無理やり栗饅頭を入れると、もごもご食べる紫海。



可愛いな~紫海…



「………」



「…ちっ…」



今舌打ちしたよな?こいつ…



「おい!オス男!」



桐生が珍しく栗饅頭食べてんな。しかも、慎之介に差し出してるし。オス男って…俺には会った時から呼び捨てだったよな?確か…



そう思いながら二人のやり取りを観察する俺。紫海は、もごもご口を動かしながらも俺と一緒に二人を観察している。