「これ栗饅頭でさぁ~しかも、栗川って下っ端から奪って来たんですよ」



俺の耳元で話す少年に桐生もたつやも呆然と眺めている。現に俺も、意味不明で、人事のようにその現場にいた。



まるで殺人現場に遭遇したかのように、俺は何も出来ないでいる。栗饅頭入りの銃口を向けられているなんて誰が想像するんだ?



「……」



「弱い奴なんでさ~そいつ…栗川なんてダサい名前だと思っちょらいませんですかィ?」



「アンタは何者なんだ?」



冷静に桐生は、頭の上のサングラスを光らせながら問いかける。



「俺ですか?俺は、沖慎之介(オキシンノスケ)ただのホームレスごっこをしている、ただのサラリーマン風を装っている高校生ですぜィ」



意味不明だなこのガキ。どっからみても少年だろ。それに、なんで銃口に栗饅頭なんてくっつけてんだよ。



「おい!ガキ!俺の組に来るか?」



「たつや!?」



うわ~たつやの悪い癖だな。たまに変な奴に会うと、スカウトするって言う悪い癖。



「良いんですかィ?俺を仲間に入れても」



銃口の栗饅頭を外し、たつやの手のひらに乗せる慎之介。