アキトは、いつの間にか白衣から手を放し、そのままたつやの方に向かうと、横に居る若菜にゲシっとキックを食らわした。



「っ…おい!アキトお前舐めてんのか!?俺を!?」



案の定怒った表情の若菜は、アキトの胸倉を掴みながら言う。若菜の迫力に負けじと、アキトも睨みつけながら…



「いえ!あなたなんて、舐めたら汚いじゃないですか」



そう言った。



なんだかな。子供のケンカに、大人が言うのもあれだし…ここは、巳艶の出番だな。



たつやも桐生も、俺と同じ考えだったらしくて、巳艶に視線が集中する。



「巳艶、後はお前に任せる!任したからな!?」



「え!?俺!?なんで、若菜=俺なんですか!?若!」



巳艶も気の毒だよな?俺に回って来なくて良かったけどな…。



「紫海!俺らだけでちょっと行こうぜ?」



「え?先生!?」



紫海が、目を丸くしながら俺を見つめる。無理やり腕を引っ張ると走り出した。


「おい!待てよー!恭平!!」



後ろで、たつやの声が聞こえたが俺は、シカトしたのだった。