大学校内にはカオナがいた。
特に二人を待っていたようではなかった。
黒のタートルネックに、細目のジーンズは彼女のスタイルの良さを引き立たせている。

「おはよ」
肩に担いだ鞄の向こうから笑顔で挨拶した。

ミウとユウマも笑顔で返す。

「あぁー。今日も退屈な一日の始まりだなぁ」
開いたエレベーターに乗り込むと開口一番にぼやいた。


教室に入ると適当に空いている席に三人は並んで座った。

ミウは教科書を鞄から取り出すと、今日はヤマトの授業がないことに気がつき動きを止めた。なんとなく寂しい思いが彼女を落胆させていた。

「どうした?。忘れ物か?」
隣のユウマが聞いてきた。

「ううん。なんでもない」
慌てて答えた。

授業が始まり、アメリカ人講師がホワイトボードに書き立てる。
しかし、ミウはノートをとるどころか頭に入らない。

そんなミウを隣のユウマが横目で見つめていた。

いつもより午前の授業が長く感じるミウには、昼休みが待ち遠しかった。