まだまだ私は4番目。

「翔、お疲れ様っ!」

私は一條瑞希。
高校2年生の女の子。一応、お嬢様ってやつかな。

「瑞希。」

いつもの曲がり角で待っていた私の元へ来た彼は、私の彼氏の翔。

お互い違う高校に通ってるから、登下校の時間は貴重なデートタイムだった。

「ねえ、翔。もうすぐクリスマスだねえ…。二人でどこか行こうね!」

「えっ…あの…。」

「行こうねっ!!」

「…わかった…。」

まったく!翔は冬休みもずっと予備校の講習で、全然遊べないんだから、クリスマスくらいは私に付き合ってもらうんだから!

翔が勉強一番なのはわかるけど、一日くらい4番目の私を1番に考えてくれたって罰はあたらないよ。

「瑞希、これから図書館行くけど…来るか?」

「うーん、行きたいけど…。今日パパが早く帰ってくるらしくて…それで、話があるからすぐ帰ってきなさいって。」

「へえ…。瑞希の父さんが…。珍しいな。」

パパは社長さんで、いつもいつも家にいるわけじゃない。

早く帰って来るなんて稀なことだし、何より私に話なんて珍しいなあ。なんだろ。

「そう。だから今日は行けないの。ごめんね。」

「いや、別にいいけど。…じゃあ、また明日な。」

「うん、またね…。」

もうっ!ちょっとくらい寂しそうにしてくれたっていいじゃない!

顔色一つ変えないんだからっ!

足早に家へ向かい、車庫にパパの車があるのを確認してから、急いで家に入った。

「ただいまー!」

リビングに向かうと、パパはソファに座ってコーヒーを飲んでいた。ママは私に優しく「おかえり」と言う。

私はパパと対面のソファに座り、早速話を切り出した。

「パパ、話って何?」

「瑞希、あのな…。」

いつも私には甘いパパが、今日は何だか厳しい顔つきをしている。

そして、机に置いてあった白い冊子を私に手渡す。

私はそれを受け取り、開いてみた。
そこには、私の全く知らない若い男性が写っていた。

…あれ、これってよくテレビとかで見る光景だけど…。まさか…。

「瑞希の見合いの相手だ。」

パパは厳かにそう告げた。ママは心配そうにパパと私の両方を交互に見ている。

…お見合いって…。
私は写真をもう一度見た。