「ねえ陸・・・私を陸上競技場につれていってくれない・・・」


その頃の薫は、歩くことさえ困難を極めていた。


俺はだまって彼女をバイクに乗せて陸上競技場へと走った。


競技場に近づくにつれて薫が俺をつかむ手が強くなっていった。


「なつかしいなぁ・・・」


彼女が小さな声でつぶやく。


俺は彼女をバイクからおろして、おぶりながら競技場へと入っていった。