今日の放課後、会議はないが、生徒会がある。

 千紗に会えるのは嬉しいけど、そんなに話せないんだよね。

「せんせーっ!!何でため息ついてるのー?」

 知らぬ間にため息をついていた俺に声をかけたのは、1年の女生徒――奈緒美さん。

 全体的に明るくおだんごヘアがよく似合う子、という印象が強い。

「俺だってため息くらいつくよ」

「あ!そうそうっ。美人な彼女の名前って『コマチ』っていうんでしょ?」

「そうだよー」

 ココに来てから、すぐやってきたイベント――バレンタインデー。

 人生初だ、あんなにたくさんのチョコレートをもらったのは。

 それっから、彼女をいることを公言してきた俺に投げ掛けられる質問は、『彼女の名前はー?』というもの。

 だから、奏子さんにも言った通り、『コマチ』ってことになってる。

 まあ、コマチさんが知ったら、爪研ぎくらいにはされそうだけど。

「ケンカでもしたっ?」

 人の不幸は蜜の味、ってか?

 なんでそう、目をキラキラさせて聞くのかな、この子は。