何を思ったか、私を抱きしめたまま後ろに倒れるタツキ。

 自然と私もタツキの動きと同じようになるわけで、前に倒れる。

 パッと、いわゆる人間の反射ってやつで、タツキの顔の両側に手をついた。

「千紗って、大胆っ」

「ふ、不可抗力よっ!!」

 叫んでみても無駄なようで、そのままくるりと半回転し、見事私はタツキの上から下へ。

 もうこうなったら危ないため、大きく息を吸う。

「コマチ!助けてっ!!」

 叫んだと同時くらいにコマチがベッドの側までやってきて、タツキを威嚇。

 前に威嚇するコマチを無視して私を襲った時、コマチに引っ掻かれて痛い思いをしたタツキは「コマチさ〜ん」と、私の上から退いた。

「コマチ、ありがとう」

「ホント、邪魔しすぎ」

 尻尾をパタパタさせる姿があまりにも可愛らしくて、この屋敷にひとりにさせたくない、と衝動的に思い、

「……ねぇ、タツキ。マンションってペット可だったわよね?」

「そうだけどって、まさか、ねぇ?」

「もちろん、連れていっても良いわよね?」

 ベッドに飛び乗ったコマチを抱きしめながら、タツキを見上げた。