『あ、いえ。大したことではないのですが……。どうしてもと言う方がおりまして』

「大したことじゃないの?なら、行かないわよ?」

『それは困りますっ!!私(わたくし)や、他の者の身が持ちません!』

 そういうのが“大したこと”って言うんじゃなくって?

『……実は、コマチ様がご乱心なのでございます』

「コマチ、が?」

『タツキ様が転職なされてから、千紗お嬢様はご実家へ一度も脚をお運びになっておられません。ですから、その、コマチ様は寂しいのではないかと』

「そうね。全然行ってなかったわ。今すぐ、そっちに向かうから、コマチに伝えてもらえる?」

『はい、かしこまりました。お待ちしております。では、失礼します』

 電話を切り、すぐ帰る支度を済ませ、タツキに「今日は実家に帰るので、迎え頼みます」と、メールを送る。

 呑気な二人に帰ることを告げ、生徒会室をあとにした。

 校門を出てすぐのところにバス停がある。

 バス停に近づき時刻表を確認し携帯を見れば、ナイスタイミング。

 あと3分後には、バスがやってくる予定。

 まぁ、実家まで歩いてもいいんだけど、久しぶりにバスに乗りたくなっちゃったのよね。