「…2人かぁ。漢字と名字は?どう?」
電話帳検索でヒットしたふたりのカナコさんの文字が浮かぶ携帯を覗いて首を横に振った。
奏子か佳奈子……。
雄太郎に名前だけ聞いたんだから分かるわけないわ。
「じゃあ、特徴は?髪型とか髪の毛の色とか。あとは、一重か二重」
「肩につくくらいの明るい茶色のウェーブがかかった髪、だったと思うわ。顔は分からない」
「じゃあ、こっちだね。奏でる子の奏子ちゃん。高田奏子(たかだかなこ)ちゃん」
……何で髪型と色を言うだけで分かるのよ?
そんな私の視線に気付いたのかにこりと、そこら辺にいる女の子が一瞬でオチるような笑みを浮かべた。
実際、黄色い声が上がってるのは、無視よ、無視。
「ほら、たくさんの女の子とオトモダチだからさ。名前と顔って一致しないんだよね。
だから、初めて会った時とか会う度に、外見を把握して更新してくんだぁ」
俺ってスゴいでしょ?みたいなトーンで言わないでくれません?
だいたい『オトモダチ』って。
ただのオトモダチじゃないくせに、何厚かましく言い放ってんのよ。