『……あ。じゃあ、バス来たから』

「そう?頑張ってね」

 タクの『あぁ』と言うのを聞いた後、電話を切りそこら辺にあった雑誌を掴んだ。

 しばらく雑誌を読んでると、タツキ、雄太郎、ミドリの順に、リビングにやってくる。

 朝ごはんを食べ終えたらすぐに勉強し、休憩を挟みお昼ごはんを食べ、少し休憩しまた勉強。

 すごい1日だったわ、なんて勉強をしてない私が言えるくらい、居心地が悪かった。

 次の日、追試を受け終えた雄太郎とミドリは、生徒会室で黄昏ているらしくポカーンと口を開け窓の外を見ている。

 そんな二人を生徒会室に残し、書類を持って職員室に向かう。

 その途中、不意に聞こえてきた声に、脚が止まった。

「ねぇ〜、せんせぇ〜」

「はいはい?」

「ここ、分かんないのっ。そこの教室で、教えて?」

「30分だけでいいかな?俺、会議があるから」

「じゃあ、アドレス教えて?」

「それとこれとは、違うでしょ。ほら、早く始めるよ」

 近くの教室に入っていく、タツキの後ろ姿と、肩につくくらいの明るい茶色のウェーブがかかった髪の女生徒。

 ありきたりな光景なのは分かってるわ、たぶんだけど。