「俺のこと誘惑してくれてるの?」

「……そんなわけないでしょ」

「まぁ、いっか!
それより、ちょっと時間的に早いけどご飯にしようよ。二人もバッチリ起きてるみたいだし?」

「ご飯、ね。いいわよ……って、え?
お、起きてるって………」

 自然と私の腰に回っていたタツキの手を退かして振り返れば、気まずそうにかつ、ニヤニヤしながらこちらを見る雄太郎とミドリ。

 どこから見てたのよっ?!
 っていうか、タツキも気付いてたらなんで…って、そういう趣向だって明らかになったのよね……。

 そんな二人を一瞥してからキッチンに向かい、黙々と出来上がった料理を運び、タツキを軽く睨んだ後お風呂に向かった。

 部活の疲れを癒し、リビングに戻れば再び勉強をしている二人が目に入る。

 ここまで勉強されると、逆に申し訳ないというか、気持ち悪いというか……。

 何だかその場にいられないくらいピリピリとした受験前を再現したような雰囲気に、携帯を向け、ピピッと軽い音を響かせた。

 画面を見れば、向かい合う形で勉強をしてる雄太郎とミドリを教えやすい位置――雄太郎とミドリが底辺なら頂点の辺りにタツキがいる感じに、テーブルを囲んでいる写真。

 その写真をタクに送り付け、部活で怠くなった体をベッドに放った。