あの二人に1日中勉強を教えなくてはいけない(仮にもひとり、オール赤点だし?)、なんてタツキだとしても大変だと思わない?

 だから、急いで玄関を開けリビングに飛び込んだのよ。

 そしたら!
 パンクしてたのは、ミドリと雄太郎だったのよーっ?!

 信じられる?
 私はもちろん信じられないわ。

「た、タツキ。この子達、どうしちゃったの?っていうか、何でそんなに普通に夕飯の準備してるのよ」

「え?どうしちゃったの、って俺はただ勉強を教えただけだよ?
普通に?普通に料理しちゃダメなんて千紗言ってたっけ?」

「そうよね、勉強してたのよね。うん、なんとなく分かるわ。このプリントの散らかりを見れば、ね。
いや、普通に料理してもらって構わないわ。っていうか、むしろそうしてもらわなきゃ私が困る」

「あ、ごめん、ごめん。プリントの片付けを後回しにしちゃった」

「ううん、いいの。これは、私が片付けるから気にしないで料理続けて?」

 タツキの「ありがとう、千紗」を、聞いた後、リビングのテーブルの周りでピクリともせず死んだようにうつ伏せになっている二人に近づく。

 少し屈んで良く見ると、目が虚ろ。

 そして、ビックリしたのがその口から数学の公式が漏れていること。

 ミドリが数学なら、と思い、雄太郎に耳を近付けると、生物の用語をつらつらと発しているではないか。