「カナコっていう人知ってる?」

「知らなーい。……でも、平気だと思うよぉ」

「何でよ」

「………うん……」

 上半身を捻って覗けば、可愛い顔で寝ているミドリの姿。

 体制をもとに戻しながら考えるが、睡魔には勝てなかったらしく気付いたら目覚ましの音が部屋中に響き渡っていた。

 ミドリを起こすまいと必死に目覚ましを止め、まだ眠たそうな体を無理矢理動かし準備をする。

 着替え終わったらキッチンへ向かい、四人分の朝ごはんを作り、自分のお弁当と三人分の昼ごはんを適当に作った。

 一応、家を出る前に私の勉強部屋に寄りタツキの様子を伺う(とか言っておいて、実際はカバンを取り出したいだけなんだけど)。

 寝ているタツキを見てから、部活用のカバンを音を立てないように取り出す。

 必要なものをカバンに詰め、ドア付近に置きタツキに近づく。

 右肩を下にして寝ているタツキの右手、指と指の間に「朝ごはんもお昼ごはんも用意してあります。朝ごはんはテーブルの上、お昼ごはんはフライパンの中です」と、かかれたメモを挟む。

 仕上げに、目覚まし時計をちょうど良い時間にセットする。