「私、土曜日部活があるんだけど」
「部活の間はなんとか頑張る」
「ふーん。雄太郎とミドリはそれでオッケーなわけ?タクは?来れる?」
「俺は無理。土日両方練習試合」
「ちぃんち泊まれるの?行くに決まってるじゃんっ」
「部活ないし、暇だからねぇ」
「そう。じゃあ、二人とも家に連絡」
「「はいっ」」
気持ちいいくらいの返事をして、家に連絡を入れる二人。
いち早く連絡を終えた雄太郎は、私の隣にやってきた。
「ねぇ、千紗、知ってる?」
「何を?」
ホント、この異母兄弟は似てるわね。
ふわっと甘い爽やかな香りと一緒に、雄太郎は私の耳に口を近付けた。
「カナコって人が、たっちゃんを口説いてるんだってさぁ」
「……だから、何よ?」
「嫌じゃないの?」
「嫌って、何が?」
「千紗ってヤキモチって言葉知ってる?」
「そのくらい知ってるわよ」
私にやきもちを妬かせたかったわけ?
でも、まぁ。
ちょっと、ちくりとはきたけど、タツキはたぶん惑わされないと思う……わ。
信じなきゃやってられないわ、この関係。