「タツキセンセー、助けて〜!」

「…………千紗さん。どうしたの?」

 タツキったら雄太郎を一瞥して私に微笑みかけるものだから、危うく吹き出しそうになったじゃない。

 とりあえず、私の手元にあった“例”の解答用紙を渡す。

 それを見た瞬間、タツキは「あーあ」と、なんだか楽しんでる声を上げた。

「俺がまとめて教えて上げるよ」

「ホントに?!」

「長谷川先生、ミドリも」

「え?ミドリさんも?」

「あはは…」

「まぁ、いいよね?千紗さん」

「は?何を考えてるのよ」

 ハッと気付いた時には遅かったが、この場には私達の関係を知らないものはいないため開き直った。

 何が『いいよね?』なのよっ?!

 主語と述語がない会話をするなんて、ホントにタツキって教師かしら?

「何に対して私に許可を取ろうとしてるのかしら?」

「今日って何曜日だ?」

「金曜日ですけど?」

「俺等んちで泊まり込みで、お勉強会しようよって思ってるんだけど、ダメ?」

 そうよね。

 赤点をとったふたりは、部活出れないんだし(ひとつでも赤点を取ると、取った人は強制的に部活停止になるのよ)。