「雄太郎、とりあえず、そこ、正座」

「………はい」

 正座した雄太郎の目の前に、仁王立ちした私とタク。

 タクから受け取った雄太郎の解答用紙は、とりあえずヒドイ。

 危うく、一桁は免れたけど。

「林、知ってるか?オール赤点は、平均点を上回らなければならないってことを」

「……知ってます」

 そう。
 変わった校長の学校だからなのか、ミドリみたいに赤点が少なければ、追試を行っている教科だけを受ければいいの。

 でも、オール赤点はそうはいかない。

 全教科の追試を受けて、しかも、受験者全体の平均点を越えなければならない。

 そして、平均点を越えるまで追試を行う。

「ねぇ、雄太郎」

「何?」

「もちろん、一発でオールクリアよねぇ?」

「………その笑顔、怖いんですけど」

「坂桑、当たり前だろ。今日から叩き込む」

「た、タク〜〜〜」

 雄太郎は目をウルウルさせながらタクや私を見ているけど、効果なし。

 もう、呆れてため息しか出ない時に「あれ?みんなどうしたの?」と、呑気な声が聞こえてきた。