「ちぃ、ごめんね?」

「はぁ。まぁ、オール赤点じゃなかったからいいとするわ。たぶん、数学だけ追試があると思うから、タツキに教わって」

「……はい」

 あんなに勉強してたんだし、三個くらいの赤点……どうってことないわよね?

 今回は、広い心で見逃してあげるわ。

 ポン、とミドリの頭を撫で「赤点はあったけど頑張ったわね」と一言。

 ミドリは、お得意の悩殺スマイルで私に抱きついた。

 穏やかな時間が流れてる、なんて思ってたのに………。

 突如、バァンッ!!と勢い良くドアが開き、タクに首根っこを掴まれた雄太郎がやってきた。

「タク、どうしたのよ?」

「このタコ、オール赤点取りやがった」

「はぁぁぁあ?!!!」

 外気で冷たくなった窓をカタカタ言わせるほどの私の絶叫に、雄太郎はさらにうなだれる。

 初めてミドリの赤点が三個に納まったと思ったら、雄太郎のオール赤点………。