「山田智哉です。オーストラリアから来ました。よろしくお願いします。」

と、なんの面白みもない自己紹介を終えた。

「じゃあ席は、廊下側の一番後ろ、太田さんの隣です。」


わたしの隣!?そういえば空席だ・・・


「太田美春です。よろしく。」

「・・・・・。」

何故か山田智哉は美春の顔をひたすら凝視しているだけで、あいさつすら返してこない。

「テレビ出てるよね?」

「えぇっ!?」

突然思いがけないことを言われた。
確かに美春は小さい頃からの夢である、女優への道を進みだしつつあるが・・・

「ふーん、マジで芸能人になるとは思ってなかったな。」

にやにや笑いながら彼が言ったこの言葉は、更に美春を混乱させた。

「昔のわたしのこと知ってるの?」

「・・・ってことは俺のこと忘れてんの!?まぁ8年も経ったら覚えてなくても当然か~。お前すっげー頭悪かったもんな。」

「何それっ!関係ないじゃん!」

美春は思わず大声を出した。

「そこ静かに!!」

とたんに先生の罵声が飛んできた。


なんだか最悪な一日になりそうだ・・・。