「よぅ、お前こそ部活入ってないんだ?」

いつも軽さの中に冷静さを保っていた藤橋ユウヤが、少し慌てたように返した。

「うん、部活は中学で卒業かなぁ。若いんだから遊ばないとね、なんてね。」

思ったよりも気楽に話せる自分に不思議な感じがした。

もしかしたら、このまま聞きづらかったことも聞けるのだろうか?

そんなことがふと頭に浮かんだけれど、なんだか今の藤橋ユウヤにそれを聞いても仕方がないようにも感じた。

そんな風に考えながら、藤橋ユウヤと言葉を進めるうちに、話は自然にハトの話題になった。

それはみんなが自然に共有する話題だったので、あまり共通点をもたない私達にとっては自然の成り行きだった。

藤橋ユウヤの目が一層悲しみに歪んだような気がした。

藤橋ユウヤは言った。

「なぁ、笑わないかな。」
藤橋ユウヤは、何かを躊躇するようだった。

笑わないよ?何?

私は軽く笑って何気なく答える。

藤橋ユウヤは、あくまでも注意ぶかそうに言った。

「たぶん…、ハトが死んでいくのはオレのせいなんじゃないかと思うんだ。」

藤橋ユウヤは、まだ何か言葉を続けたいようにも見えたけれど、何かをためらっているようだった。

言葉の意味が、私の中でうまく理解されてゆかない気がした。

私の手の中では、サキからの着信に携帯がしきりに震え続けていた。