「俺と付き合ってぇな！」


もう一度告白すれば、奈々は真顔で俺を眺めてから口を開いた。


「イヤよ｣

「……」


イヤ？　嫌って、ＮＯ？　俺フラれた！？


「な、何で……っ俺のこと好かん！？」

「好きか嫌いで言ったら、好きよ｣

「ほんなら何でっ｣

「私じゃなくてもいいんじゃないかしら｣

「はあ！？　何でそうなんねんっ！」


奈々以外あり得へんし……！


困惑する俺に、奈々は不機嫌そうに眉を寄せた。


「キスしてたじゃない｣

「げっ！　……見てたん？」


っちゅーか……何でそんな……むつけてるん？


「――ヤキモチ？｣


ポロッと出た言葉に奈々がピクリと反応する。


「なぁにそれ。自意識過剰？」


怖っ！　微笑んどるのに怖っ！


「つか誤解やし！　あれはファンの奴で、キスっても頬やったから！」

「ふふっ。良く出来たファンサービスだこと｣


ニコッと笑う奈々に背筋が凍る。


アカン……このままやとチャラ男と思われるやん！　てか被害者やで俺は！


「奈っ……」

「私お見合いするの｣


――……はい？


「だから今付き合うとか付き合わないとかの話してる場合じゃないの｣

「……は？｣


見合い！？　奈々が！？


「まあそういうことだから。今日はお招きありがとう」


それだけ言って奈々は早々とステージを降りていった。


いやいや……何サクッと帰ろうとしてんねん……これだから門限厳しそうなお嬢様は…………は？　


訳が分からず昴たちを見ると、昴はポカンとしてキョウは必死に笑うのを堪えとる。


透は立ち去る奈々と立ち尽くす俺を交互に見ていた。



「み、見合い……？｣



俺の一世一代の告白が、そんな話してる場合じゃない、で幕を閉じた。



ど……どないなっとんねん！！



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