「見てへんよ。んな可愛いん?」
「可愛いのと超美人っ」
「ふーん」
「俺透ちゃん派~」
「俺奈々ちゃん派~」
「名前まで分かっとるん!?」
驚くと、4~5人の奴らが「イエース!」と声を揃えて親指を立てた。
「つか1年って……最近まで中坊やで? あり得へんやろ?」
「バッカ! んなの気になんねーほどの外見なんだっつーの!!」
「つか初々しくて逆に良くね?」
「「確かにーっ」」と盛り上がり続ける奴らを冷ややかな目で見る。
ここはサバンナか。お前らはハイエナか。
「――おいっ!」
飯を食うことを再開した俺の肩をバシバシと叩く隣の奴。
「なんやねん」
「あれだよあれ!」
「はあ?」
指差す方を見ると、食堂の外にある自販機の前に2人の女子が立っていた。
「ちっこいのが透ちゃん!」
「髪長いのが奈々ちゃん!」
「どれどれ、見たるわ」
興奮する奴らに便乗し、俺は目を凝らしてヤバいらしい2人の1年を拝見。
確かにドチビの透という奴は自販機にへばりついて、何を買うか悩んどる様子。
黒いロングヘアの奈々って奴は、それを微笑みながら見てるっぽかった。