「……っ」


欲張りかもしれない。


でも寂しい。


あたしは何も隠し事なんてないのに、奈々は肝心な時に限って本当の気持ちを言ってくれない。


聞き方を間違った? 家で何かあったの?ってまず先に聞いた方が良かった?


翔太と奈々が付き合ったら嬉しいって、あたしの望みを口にすれば良かった?


だけど、どう聞いたって奈々はかわすじゃん。受け流して、終わらせちゃうじゃん。


だから、奈々の本当の気持ちが知りたいって、直球で聞くしかなかったんだよ。


それが欲張りだというなら、仕方ないことだけど。


大好きだからずっと一緒にいたいのに。



奈々のことちゃんと知らない気がして、寂しくてたまらない。



「……だいじょーぶだよ。トール」


顔を上げると、昴が優しく微笑んでいた。


「ナナも、ワルイことしたなって、おもってるよ」

「……昴」

「シンユーなんでしょ?」

「うん……」

「いつカラだっけ?」

「中3……15歳から」


中3からずっと一緒。いつも一緒。


1年と、8ヶ月……。


「意外に短いぃぃいいいい!!」

「ト、トール……ッ」


慰め方間違った!って顔をしてる昴に申し訳なくなる。


ごめんね昴。困らせたいわけじゃないのに。



シクシク泣いていると、テーブルの上に置いてあった昴の携帯に着信が入った。