今日の学校は授業ではなく、冬季球技大会が行われる日。


『体を温めて寒い冬をぶっ飛ばせ☆』が、スローガン。


ふっ……。

体を温めても心が寒いんですけどねっ!


「ト、トール……げんきんだして」


現金ってどういうことなの昴。彼女からカツアゲする気ですか。


昴になら全財産あげてもいいけどね……ふふ……。


「Comebackトールッ!」


どんより負のオーラを纏うあたしは、昴に戻ってきてと言われても笑えなかった。


昨日、奈々に余計なことを言ってしまったからね……。完膚無きまでに潰されたのは、あたしのおせっかいだったよね。


暗いあたしとハラハラする昴が座る席に、「お待たせしました」と綺麗な女性スタッフがブレイクファーストを持ってくる。


昴の前には温かいカフェオレとメープルワッフル。あたしの前には温かいミルクティーとホットケーキが置かれた。



今日は球技大会のため学校は10時から。


昴の提案で、登校する前にいつものカフェで朝飯という素敵な時間を過ごせているはずなのに……元気が出ない。


「絶対嫌われた……きっともう喋ってくれない……うっ、うっ……」


シクシク泣きながら、食べる物はちゃんと食べるあたし。


昴もワッフルを食べながら、眉を下げてあたしを見てる。



奈々の本当の気持ちが知りたい。そんなこと思うなんて、あたしが欲張りなのかな。


俯いてフォークを置くと、カチャンと虚しい音が響いた。