「みんなありがとね。徠、お礼は?」

「ありがとございました」

「えっ! ううん! 見つかって良かったよっ」

「じゃあ俺、徠を家に連れてかなきゃいけないから先に帰るね。ほんとにありがと」

「とーる。マフラーありがとうございました。ココアもおいしかったです」


天使の微笑みでマフラーを差し出すライアンにブッ!と危うく鼻血を出しそうになる。


「あげる! ライアンにあげるっ」

「でも……とーるがさむいです」

「寒くないっ」


そう言うと、ライアンは戸惑いながらキョウを見上げる。


「好意は受け取るに限るよ。でも本当にいいの? 透」

「全然いいよっ! あっ、でも必要なかったら無理しなくてもっ」

「……ありがたくいただきます。うれしいです」


ニコッと笑うライアンに失神寸前倒れる3秒前。


なんて礼儀正しいの……! 奈々だったら気色悪いって無視するか、もらってくださいでしょ?って言うよ!



「じゃ、また明日」

「おせわになりましたっ」


そう言って帰っていく2人を、あたしたち4人は笑って見送った。だけど多分、4人全員が思っていた。


あんな小さい子がひとりでわざわざ学校まで挨拶しに来るって……キョウ、あなたは一体何者なんですか?



キョウの正体が分かる日は、そう遠くはない……ハズ。



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