「いやぁ。ごめんなー」


周りの視線が刺さる中、廊下のど真ん中でライアンを抱きかかえ笑うキョウ。


徠庵……ライアンはキョウの従兄弟で、キョウのお父さんの弟の息子らしい。


ライアンのお父さんは日英のハーフで、ライアンはクォーターなんだって。


……ということは、つまり。


「キョウもクォーターなの?」

「そうだよ。言ってなかったっけ?」

「初めて知ったよ!」

「確かにちょっと色素薄いわよね」


様子からすると昴と翔太も初めて知ったのか驚いていたけど、当の本人は気にせず笑ってる。


「徠は俺と違って、父親よりイギリス人の祖父の血を濃く受け継いだんだよねー。隔世遺伝って言うんだっけ?」


す……すげー呑気……。キョウって謎が多いよなぁ……。


「しかしそっかー。今日からだっけ? わざわざ学校まで来なくても家で会えたのに」

「ママとパパにちゃんとあいさつしなさいって言われました」

「偉いなー徠は。俺すっかり忘れてたよ」

「きょうからがんばります」

「良い意気込みだね」

「「「「…………」」」」


あたしたちはライアンとキョウの会話に全くついていけない。


何か…ライアンの礼儀正しさといい……キョウが偉い人に見える。


頑張るって何を? どうしてライアンはキョウの家にお世話になるのですか?