ジッと男の子を見つめるあたしが何で屋上から走ってきたかというと、この男の子の髪がプラチナに輝いていたから。


見れば見るほど昴のミニマムバージョン……。


4~6歳くらいかな?

日本語は喋れるみたいだけど、キラキラ輝くプラチナの髪にぱっちりした二重の瞳はグリーンに近いブルーで、いかにも外国の子供みたい。


「ボク、お名前はっ?」


男の子は俯いていた顔を上げ、緊張した面持ちであたしを見つめた。


「ライアンです……5さいです」


たどたどしく名前を告げる姿にお姉さまは胸キュンですっ!


「ライアン! あたしはね、透。透でいいよっ!」

「はい、とーる」


小さく頷きながら言ったライアンの可愛さに胸がブチ抜かれそうになりながら、何とか口を開く。


「ところでライアン。どうしてこんな所にいるの? この学校に用事?」


同じ目線で聞くと、急にライアンは渋そうな顔をした。


「――くしゅんっ!」


くしゃみまで可愛い! じゃなくて!


「大丈夫!? ずっと外にいたの!?」


自分の赤いチェックのマフラーを首に巻いてあげると、ライアンはこくんと頷く。


「え……ほんとに?」


ライアンの頬を触ると、すっかり冷たくなっていた。


一体いつからいたの!


「わっ! とーるっ!?」

「風邪引いちゃうよ!」


あたしは無防備なライアンを抱きかかえて、全速力で校舎に走る。


「ぼく大丈夫だよーっ」

「ダメですぅううう!!」



こんな可愛い子をほっとけません!