「――はぁっ……」
屋上から一気に1階まで駆け降りたあたしは、その足で校舎を出て校門まで走った。
辺りには誰もいなくて、学校前の道路を車が通るだけ。
でも息切れするあたしの目の前にたったひとり、校門の壁から恐る恐る顔だけ出してる小さな男の子がいた。
やっぱり……見間違いじゃなかった。
「えぇと……ハロー? こんにちは」
男の子の前まで歩きしゃがみ込んで話しかけると、両手を後ろで組んで、モジモジと体を揺らしている。
照れ屋か! 何この子! めちゃくちゃ可愛い……!
目を輝かせて男の子を見つめていると、小さな唇がためらいがちに開いた。
「こんにちは……」
可愛い! 反応おっそ! そこが可愛い!
「あの……」
ひとり萌え悶えていると、男の子が小さく一歩あたしに近付いてくる。
「なぁにっ?」
ニコニコしながら聞くと、男の子は控えめに校舎を指差した。
「お姉さまは、ここの人ですか……?」
お姉さま!?
ど、どうしよう……持ち帰りたい。いやダメそれじゃ誘拐犯になっちゃう。
「えっと、そうだよ?」
「…………」
「ん?」
何か言いたげだった男の子は俯いて、またモジモジと体を揺らしはじめた。
人見知りなのかな? ……に、しても。