「それで? どうしたのよ」
隼人が持ってきたアイスコーヒを飲みながら、奈々は真っ直ぐあたしを見る。
……どうしたの、か。
どうしたんだろう、あたし。
なんかよく思い出せない。涙と一緒に零れてしまったみたい。
「……」
奈々の視線が痛くて、アイスクリームが溶けた苺パフェに視線を移した。
「んと、昴がね……」
レイと抱き締め合ってたの。
レイにね、愛してるって言ったの。
「――透……」
……やっぱりダメだ。
ごめん、奈々。あたし言えそうにないや。
後から後から涙が出ちゃって、うまく言葉を紡げない。
「ひっく……う……っ」
「分かったわ。もういいわよ透」
そう言った奈々が隣に座ったかと思えば、あたしを抱き締めてくれた。
「透が走って行ったあとに、昴とレイが校舎から出てきたの。昴は気まずそうにして、レイは嬉しそうにしてたわ。昴に問い詰めても、何もないの一点張りで……」
あたしを抱き締める奈々の腕が、ギュッと力強くなる。
「昴が、透を傷つけたのね」
怒りに満ちた奈々の声が、耳の奥で響いた。
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