どんより曇った冬の空。朝のはずなのに、太陽が見当たらない。
あたしは教室に設置されているストーブの前に座って、寒さと戦っていた。
「おい透。もっとそっち行けって」
「嫌だよ寒いよ」
隣には同じく寒さと戦う湊磨の姿。
「体育館行きたくねぇよ~……」
「あたしもだよ~……」
「そこの犬2匹。総会始まるわよ」
プルプル震えるあたしたちに、聞こえないフリをしたい言葉が告げられた。
今日は朝から体育館で全校総会。めんどくさいったらない。
「あたしサボる」
「えー! じゃあ俺もーっ!」
「総会の出席も単位になるのに? 留年の危機を自ら増やすなんて、バカも大概にしなさい」
「だって寒いんだもぉぉぉん! それにこの格好で行ったら絶対怒られるっ!」
あたしはあまりの寒さに指定制服を完全無視。スカートだけ指定を着て、Yシャツの変わりにラグランT。
セーターの代わりにパーカー。ブレザーの変わりにモコモコブルゾン。挙げ句スカートの下には、タイツの代わりに黒いレギンス。
普段はあんまり怒られないけど、総会だと怒られるんだよなぁ……。
「どうして今日に限ってそんな格好で来るかしらねぇ……」
呆れてため息をついた奈々を見上げる。
「総会あるなんてあたしが知ってるわけないじゃん!」
「諦めるのね。ほら行くわよ」
ストーブの前から断固として動かないあたしに、奈々は笑顔を向けてきた。
ひいぃ……。
笑顔の裏ではテメークソ早くしろって言ってるに違いない。
あたしは渋々立ち上がり、白と黒のストライプのマフラーを首に巻きつける。
もう私服にしか見えないよっ!