「――…Leraie?」


……え? 


ちょ、何っ! 今レライエって言いませんでした? 誰!?


昴はしゃがみ込んだまま手紙を抜き取って読み始め、ジッと手紙を読んで目を丸くした。


ひとり戸惑っていると、手紙を読み終わったのか昴はゆっくりあたしを見上げる。


「トモダチから」


あ……お友達からなの……。

お友達……レライエ……?って誰さ! 初めて聞きましたよっ!



「えっと……この学校の人?」

「A local friend」

「地元って……アメリカの!? なんで!?」


アメリカのトモダチがなぜ昴の下駄箱にチョコを……!


「ニホンにキタって、かいてる」


てか何で下駄箱の場所まで知ってらっしゃるの!?



「……I miss you」

「――……」



貴方がいなくて寂しい。


きっと、すでに日本に来ているらしいレライエに懐かしいという意味合いで言ったんだろうけど……。


そう言った昴の瞳があんまり優しさで溢れていて、チクリと胸が痛んだ。



レライエって……ほんとに友達なの?


そんなことを思うのも嫌なのに、やけに胸の奥がざわめく。




幸せなはずのバレンタイン。



厄介なものが、あたしの胸に舞い込んできてしまった。



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