――――――…


「すごい量だねーっ」

「ゴメンネトール」


放課後、大量に貰ったチョコの一部を持って歩くあたしを申し訳なさそうに見る昴に笑顔を向ける。


「ううん! 大丈夫!」


持って帰るの大変だろうなと思って昴を教室まで迎えに行ったのだけど、案の定ひとりでは持てない量を貰っていた王子。さすがです。



下駄箱まで行き、一旦離れてスニーカーに履き替えると、ドサドサッと何か落ちる音が聞こえた。


……まさか、ね。


急いで2年生の下駄箱に向かうと予想通り昴が立ちつくしていて、その足元には箱の山。


「ま、まだあったね……」


そう言うと昴は苦笑いしてしゃがみ込み、チョコの箱を拾う。


あたしも手伝って、先生にもらった紙袋に入れるというより詰めて乗せていった。


……ほんと、昴ってモテるな。


この数じゃ全学年の女子半分が昴に想いを寄せてるってことになりますけど……。


これプラス他高の女子にOL、中学生でしょ?


ど……どんだけ……。



少しヤキモチを妬きつつ昴を見ると、ちょうど最後のひとつを拾い上げた時だった。


ピンク色のハート型の箱。白いラメの入ったリボンが可愛い。


よく見ると、リボンの間に手紙が挟まっていた。



「……」


他のチョコにも手紙が添えられてるのもあったけど、なぜか妙に胸騒ぎがする。