昴に何かされるとただただ嬉しくて、幸せで、好きだなぁって……ひとりで思ってた。


ひとりで好き好きって舞い上がって、昴が何を思ってあたしに触れてくるのか、考えたことなかった。



昴も、あたしのことが好きで……触れ合いたいって、キスしたいって思う男の人なんだ。



「……トール」


流れた涙を、少しぎこちなく拭ってくれる昴。


「さわられるの、イヤだったんじゃナイ?」


こくんと頷くと、昴はあたしの顔を覗き見るように腰を折った。


「キライに、なったんじゃナイ?」

「……なってないっ」


ふるふると首を左右に振れば、昴の目が柔く細められる。


「スキ?」

「――……キ」

「One more」


もう一度望む昴に、頬が熱を集め始めた。


「やだもぅ……困るよ……」

「ナンデ?」

「恥ずかしい……」



付き合ってから手を繋ぐのも、キスをするのも、当たり前になってたから忘れてしまいそうだった。



昴と一緒にいられて、付き合えて、恋人らしいことが出来るだけが、幸せなんじゃない。


もっと根本的なもの。


今のあたしは昴に想われて、ものすごく幸せなんだ。



「――…好きだよ、昴」


一雫、また涙がこぼれ落ちる。見上げると、幸せそうな笑顔。



「オレもだよ」



そう言って、昴はあたしの額にキスを落とした。