プシュー……と湯気が出そうなくらい真っ赤になるあたしと、平然と奪った飴を舐めている昴。
「すばっ……なんっ…何す……っ」
廊下にいっぱい人いるのに!
恥ずかしくて呂律が回らないあたしに、昴は悪戯に笑う。
「かえす?」
「んなっ!」
返す?って! それってまた……っドS王子ーー!!
「See you later」
顔を真っ赤にしてわなわなと体を震わすあたしにクスリと笑って、あっさり去って行く王子。
去り際に英語って……どんだけあたしをキュン死させたいんですか!
頬を両手で包んで熱を逃がそうとするけど、頭の中ではそうもいかない。
昴って口移しが好きなんだろうか……クリスマスの時もあたしの口から薬を……。
「んにょぉあぁあああああ!!」
思い出してボッ!と赤くなるあたしは、やり場のない感情から髪をグシャグシャに掻き乱してダッシュで教室に入る。
「朝からお熱いわね」
席に着いて机に突っ伏すと、頭上から奈々様の声。
「言わないで! 何も言わないで!」
「マウストゥーマウス?」
「んぎゃあぁぁあああ!!」
「飴奪われたのね?」
「やめてぇぇええええ!!」
恥ずかしくて死ぬっ! 今回はマジで!
すごく楽しげに笑う奈々に散々イジられ、冬だというのに体中が火照っていた。