「透っ。これお返しにやるよ」
廊下を歩いていると、サラミを食べ終わった湊磨がポケットからピンク色の小袋を取り出した。
「すげーウマイからっ」
「何それ……もがっ!」
言い終わらないうちに湊磨は小袋から出した丸型の何かをあたしの口に突っ込む。
……………。
「うーまーいーっ!」
「だろ~?」
チョコの味がする! 飴だと思うけど、すっごい味濃い! 甘くて香りも強いし、本物のチョコ食べてるみたい!
「何これ何これ! どこで売ってんの!?」
「秘密~っ」
「ぬぅわんでぇー!?」
教えて教えてと湊磨にひっ付いていると、「あれ透の彼氏じゃん?」と湊磨が廊下の先を指差す。
その指先が向かう方を見れば確かに1-3の前に昴が立っていて、あたしたちに気付きこっちを見ていた。
「昴ーっ! どうしたの!?」
猛ダッシュで昴の元へ行くと、いつものように頭を撫でられる。
「きょー、ケータイわすれた」
「あっ、そうなの? 分かった!」
じゃあ今日は授業中にメール出来ないのか。
「ゴメンね。おひるはダイジョブだから」
「ううん! わざわざありがとう! じゃあ学食で会えるねっ」
そう言えば、微笑んでくれる昴。
かっ……かっこいい!好き!
1人きゅんきゅんしていると、昴が顔を近づけてきてクンクンとあたしを嗅いでくる。
「え、何!? 臭い!?」
「んーん。colon? あまいカオリ」
甘い? あたし香水付けてないけど……。
「ああ、飴か! キャンディーだよ。さっき湊磨に貰ったの」
「ソーマ……」
昴は、まだあたしの後ろを歩いてるであろう奈々と湊磨にチラッと視線を移した。
瞬間、間近で昴に顔を覗かれたと思ったら、唇を塞がれた。
「!?」
昴の大きな手が頭を掴むように、あたしの後頭部に回される。
ちょ、えっ……んん!?
固く閉じていた唇は昴にこじ開けられ、一瞬にして飴を奪われた。
どえぇぇぇええええ!?