――碓氷 湊磨。
外見は隼人と同類だけど、大聖みたいな爽やかさ。ノリの良さは翔太並みで、すぐ笑うとこはキョウにそっくり。
それから最近気付いたのは。
「透! おいーっす!」
「ぐぇっ!」
すぐ抱きついたりするとこ、昴にそっくり!
「あったけー。人間カイロ~」
「歩きづらいんだけどー」
あたしが言うのもなんだけど、湊磨って犬っぽい。
デッカいゴールデンレトリバーみたいにパタパタ揺れる尻尾があたしには見える……!!
「――湊磨」
「ん?」
後ろからあたしを抱き締める湊磨に好物のサラミスティックを見せると、キランと目が輝る。
「そりゃっ!」
「サラミーッ!」
遠くに投げると犬の如く追いかける湊磨に口の端を上げた。
「また餌付けしてたの?」
「っおはよう奈々! 段々飼い慣らしてきたよ」
フフンと笑うと、湊磨は見事キャッチしたのか「食べていいよな!?」と叫んでる。
歩きながらOKサインを送れば、早速食べ出した湊磨に思わず笑ってしまった。
「どんだけサラミ好きなの」
湊磨の元に辿り着く頃には、シャーペンほどの長さがあったサラミスティックは3分の1まで短くなっていた。
「男って好きよねぇ。つまみ」
「だってウマくね?」
「あたしはケーキの方がいいな~」
下駄箱で靴を履き替えて、3人揃って教室へ向かう。