「あら……? 湊磨?」
「おー! 奈々!」
ポカンとしていると、あたしの声を聞きつけたのか奈々がやって来た。その後ろには昴たち。
みんな、何で湊磨がここに?って感じだけど、あたしもまだ戸惑ってます……。
「えっと、つまり、橙磨くんとのんはお友達で……?」
「俺と陛が仲良くなって、この前俺んち遊びに来たんだよなーっ」
「そうそう。それで、湊磨くんに会って話してたら、透のクラスの転校生だって分かってね? 俺、透の弟だよーってなって、すごい偶然!って」
「あぁ……うん、分かった。で、何で湊磨がここに?」
「「「驚かせたくて!」」」
見事にハモる3人に、必死に頭の中を整理する。
「あーそれから。俺ん家、道路挟んで斜め向かいだから」
「……はひ?」
「歓迎会の時に透送った時はマジでビビった! でも驚かせようと思って黙ってたんだわー」
ハハッと笑う湊磨に便乗するように、のんと橙磨くんは笑い合った。
「こっから徒歩5秒くらいだよね?」
「10歩とかじゃねぇ?」
「「近すぎっ!」」と無邪気に話す弟たちの笑顔を見ながら、呆然とする。
「あとたまに夕飯世話になるけどよろしく!」
「え!? うちで!? 何で!?」
「俺んち共働きなんで。お世話になりますっ」
イケメンの橙磨くんがあたしを見上げて、何の曇りもない笑顔を向けてきた。
「えと、作るのあたしじゃなくてお母さんだけど……いつでもどうぞ……?」
展開に頭がついていかないあたしを差し置いて「イエーイ」とハイタッチするのんと橙磨くんと湊磨。
あたしは色んな意味で、後ろを振り向けない。
何か……背後からピリピリした空気と黒いオーラを感じるのは、気のせい……?
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