「さっ! 部屋に行こう!」
肩を震わせるキョウの背中を叩いて、階段を上る。
「トール、いいの?」
「いいのいいの。ああなると何言っても聞く耳持たないから……」
あの靴はのんの友達か……。
「部屋入ってDVD選んでて!」
あたしの部屋にみんなを入れて、「のーんーっ」と言いながら向かい側の部屋をノックすれば「どーぞー」と返事が返ってきた。
「のんありがとね! これケーキ……」
ガチャリとドアを開けて部屋に入ると、のんと友達が2人いた。1人はあたしを見つめて、笑顔を向けてくる。
のん……イケメンな友達ね!
「お姉さんこんにちはーっ」
「こんにちはっ! 姉の透ですー。……そっちの子は、寝てる? あ、これちょうど3つあるから食べて」
布団に潜り込んで寝てるであろうもう1人の友達に目をやりながら、買ってきたケーキをのんに差し出す。
「やった~。ありがと透っ」
はにかむ天使! きゅん!
「おい起きろって! 陛(のぼる)の姉ちゃんに会いたいって言ってついて来たのお前だろっ!」
イケメンくんは布団を叩いて、やっぱり寝ているらしいもうひとりの友達を叩き起こし始めた。
……あたしに会いたい?
のそっと布団から出て起き上がった人物に、目を見開く。
「おー……。おかえり透」
「――っなんで湊磨がいんの!?」
布団で寝ていたのは、真っ赤な髪色をした湊磨だった。
驚いていると、のんが「透」とあたしを呼ぶ。
「紹介遅れたけど、コイツ俺のクラスに転校してきた橙磨(とうま)。湊磨くんの弟なんだよ」
「ええ!?」
そ、そういえば弟いるって……。のんと同じクラスって……すごいな……。