「ふうん? それで?」
「え? 2人で寄り添って寝ただけだよ?」
「寝たって、睡眠だけ?」
「? うん」
クリスマスが終わりそのまま冬休みに突入。あたしは奈々の家でくつろいでいた。
クリスマスイヴは昴の看病に徹したのだけど、そのあとはふたり寄り添って眠った。
つまり初お泊りしたってことだよ! ひゃっほう!
「まるで蛇の生殺し状態ね。可哀相な昴」
「蛇の生殺し!? 可哀相って何で!?」
起きるとクリスマスになっていて、昴の体調は良くなっていたけど微熱があった為デートは中止。
家族は旅行に行ってたらしく、ふたりでのんびり昴の家で過ごした。
それはそれですごく幸せだったんだけど……。
「それキスマークでしょ?」
「はひ?」
携帯で『蛇の生殺し』の意味を調べようとすると、奈々はあたしの首もとにある無数の痕をじっと見ている。
「キ……キス?」
段々薄くなってきたけど、これは朦朧としてる昴に食べられそうになって付けられたもので……歯形みたいなものですけど……。
そう説明すると、奈々は思いっきり眉間にシワを刻む。
「バッッカじゃないの? 最低。引くわ。年末に不快な話持ってこないで。どこまでバカなの呆れた」
次々と浴びせられる毒舌に半泣きで震えていると、奈々は長い溜め息をついた。
「キスマークくらい知ってるでしょ。何で気付かないのかしらね」
「す、すいません……」
「まあいいけど。昴って意外に大胆なのねぇ……透と同じ人種だと思ってたのに」
「どういう意味……?」
「男なのね、ってことよ」
サラリと言ってコーヒーを飲む奈々に首を傾げる。
男なのね、って……昴はどう見たって男じゃん。ちなみに世界一宇宙一かっこいい王子ですけど。
「ふふっ……」
「え!? 急に何!? 奈々黒いっ!」
「なにか一波乱起きそうねぇ?」
大魔王の次は予言者になるつもりですか……?
奈々のせいで、あたしも何か嫌な予感がしま~す……。