「いらないから、hug」

「ハグ?」


両手を広げる昴を不思議に思いながらも要望に応えて抱きつく。


「うわっ!」


ギューッと抱き返されたと思ったら、そのままふたりでベッドに倒れ込んだ。


昴は手を伸ばして布団を引っ張ると、あたしと自身に掛ける。


「……昴?」

「いっしょに、ねる?」


昴、眠かったのか……。


「うん」と言うと、優しく微笑んでくれた。


はひーっ! 近っ! 笑顔が近い! 危うく鼻血寸前ですっ!



「あした、dateしよ」

「……する」


キュンとしてると、ちゅっと額にキスをされた。


「オヤスミ」


昴は笑って、瞼の奥に深いブルーの瞳を隠してしまう。


オヤスミって……いつも電話で聞いてたから、ドキッとしちゃったよ。



「……昴」

「んー……?」

「――……ダイスキ」


蚊の泣くような小さい声で言って、急いで目を閉じ昴の胸に顔を埋めた。


恥ずかしすぎる……。



昴はあたしの頭を撫でて耳元で一言囁くと、ぎゅっと抱き締めてくれた。


ゆっくり、ゆっくりと。昴に寄り添って眠りにつく。



クリスマスらしくないクリスマスだったけど、恋人らしい1日だったよね。



『オレもだよ』



まどろむ意識の中で昴が囁いた言葉を思い出しては、幸せを感じた。