「勉強って何の勉強? 数学? 偉すぎるよライアン!」


感動してライアンを見る透に、ライアンは笑顔を浮かべながらも首を傾げた。


……ときめいた顔してる。透ってほんと面白い。


「まあ数学もやってるけど、基本的には経営学だよ」


俺がそう言うと透は目を丸くさせて、眉を寄せて俯いたり、首を傾げたり、宙を見上げたり。


よく見る透の光景。ひとり、妄想の世界に入ってる時だ。


「ライアンは癒王亭の次期オーナーなんだねっ!」


透の妄想は、たまに当たる。


「そういうこと」

「偉いな~ライアンッ」


ライアンを見遣るたび、デレデレした笑顔になる透。


子供好き……ってより、可愛いもの好きだよね。



「……あれ? でも、どうしてキョウの家で勉強? キョウって経営学得意なの?」

「ああ、うん。昔から今も勉強してるよ」


平然と言った俺に透はポカーンとして、奈々と俺を交互に見たと思ったら俺を指差して、体を震えさせた。



「お……お坊ちゃま……?」

「え? ……まあ、うん」


お坊ちゃまって言い方もどうかと思うけど……。


「キョウは王良グループの御子息なんだよ」


隣の徠さんがそう言うと、透の目が点になった。


「御子息ぅぅううう!?」


透の大声に耳がキーンとしたけど、この反応だと俺は言ってなかったらしい。