ある日、可憐な花の根元に付いた蛹を、幼い手が毟り取った。うとうとと夢と現の間に揺れていた私は、その小さな手のひらに恐怖した。
中身を見ようと子どもは無邪気に、私の殻に手をかける。















(見てはいけない)










(そこにあるのは)










ドロリとした液体が手のひらを汚す。子どもは泣きながら、暖かい膝元へと駆けていく。こぼれ落ちた私は地面に落ち、くしゃりと潰れた。










(君の未来)











私だった子どもは、大きな声を上げて、遠くで泣いている。
冷たい土の上に投げ出された私は、もう無い目で空を見つめた。
























泣きながら目を覚ました、ぐずる我が子を抱いて若い母親は庭に出た。しばらくすると子どもは泣き止み、先程のことなど忘れたように、庭の片隅にある花壇へと駆けていく。母親はやれやれと肩を回し、洗濯機に呼ばれて家の中に入って行った。





















そして、子どもは蛹を見つける。