ビチャビチャ……

(カチッ)



「香?」


流夜は中に入る


温室の奥にある大きな椅子の上で


ずぶ濡れになって
うずくまった香がいた


「香…」


(ビクッ)


「こ…来ないで!
私の事なんてほっといて!」


膝を抱えて涙声で叫ぶ


「香…風邪引くから」


流夜は優しくタオルをかける



「…お願いっ…ほっ…て…おい…て…
うっっ…ううっ…」

「香…お願いだから…俺の部屋…行こ」


流夜は香をタオルで包みながら立ち上がらせて


そっと抱きしめる


「ううっ…リュウ」

「さあ行こう」



力の入らない香を抱きしめながら流夜の部屋に向かった