「今は見えないかもしんないけど…希望ならあるだろ?妃紗はちゃんと生きてんじゃん?絶対に目ぇ覚ますに決まってんだろ」
信じたいんだ。
確信なんてなにもないけれど…。信じなきゃ、僅かな救いさえ与えられない気がすんだ。
誰かに愚かだって笑れたとしても…
「いつか…絶対に妃憂も妃紗も、俺も救われる日がくるよ。3人で笑えるようになるさ」
最後まで、信じたいんだ。
目の前の、震える瞳をまっすぐに見つめ返す。
妃憂は口を開きかけたけどすぐに閉じ、下唇をきゅっと噛んだ。俺が妃紗という名前を口にしたせいで、きっと頭の中が混乱しているんだろう。
いつだって口を開けば、とげとげしい言葉とひねくれたことしか言わないけれど、本当はそんなことが言いたいんじゃないはずだ。理想と現実のギャップに苦しんで、心が荒んでいるだけなんだよな?
妃憂も、本当はもっと…。