この前ユキ自身の口から聞いた両親の話。
もう最後に顔を見たのが、いつなのかさえ思い出せないらしい。ユキが成長する度に、一緒に過ごす時間は減る一方だったそうだ。
『自由に使いなさい』
毎月その言葉と共に、多額のお金だけが送られてくる。
与えられるのは、持て余すほどのお金ばかり。ユキが本当にほしがっているもの…愛情は与えられなかった。
だから彼女は、ほぼ毎晩ここに入り浸っているんだろう。
自分一人じゃ使い切れない額のお金を使うために。常に感じる寂しさを埋めるために。
本当に満たされているかどうかは…俺にはわからないけれど。
こういう寂しさを糧として、俺たちの仕事は成り立っている。
ずる賢いって思う?俺たちを、ばかみたいだって笑う?