入ったのは2年前の冬だった。


高校も行かずに夜の街をふらふらしていたところを、偶然代表に拾われて。

他に特にやることもないし、やってみるか。ものすごく金が欲しいわけじゃないけれど、金はいくらあっても邪魔にはならないだろうし…。始めたのはこんないい加減な気持ち。



あの頃は闘志も目標も薄かった。いや、そんなものなかったかもしれない。


でも今はちがう。妃憂が、妃紗がいるから…。

居場所を作ってやりたい。安心して暮らせる場所を。この街にも長くはいない方がいいから、遠くへいきたいんだ。あいつらに見つからないような場所へ。


そのためにはある程度の金がいる。だから、今は…。





「そうゆうお前だって、なんでホストやろうと思ったわけ?ミケこそ金も女も全く興味なさそーだし」


ケラケラ笑っていると、一瞬…ほんの一瞬だけ、ミケが冷たい無表情になったような気がした。



「んー…そういやなんでなんかなぁ。よくわかんないっす。けど、そこは当たってますよ」

「そこって?」

「俺…この世界のお金や女の人には興味ないみたいなんすよ、多分」



〝この世界〟こう付け加えたことが気になった。

じゃあ、普段の生活には…?