私はサエが好きだ。でも、これが恋愛感情だとは思えない。愛してるにはならないよ。


幼い頃からずっと一緒にいたから、彼には同じ時間を寄り添い過ごしてきた、情のようなものが湧いているだけなんだと思う。

すぐに冷めてしまう愛なんかより、ずっと冷めにくい感情。

こっちの方がよっぽど尊いものなんじゃないのかな…って。たまに錯覚してしまうよ。





綺麗な金髪に手を伸ばす。

触れると、微かに甘い香水の香りが空気に溶けた。

ちくりと胸が痛む。


長かった夜は、もう明けようとしていた。




【赤と青の夜】

((好きだよ))
((でも、愛してはいないの。私が愛してる人は…))