「咲さん大丈夫ですか?」
目を覚ますと、福禄寿が私を心配そうに覗いている。
「あの……ここは?」
「保健室ですよ。教室移動の途中倒れたと。たまたま居合わせた蛯原君が運んで来ました」
「真先輩が……」
――そうだった。
何故か急に胸が苦しくなって、立っていられなくなって。
倒れちゃったんだっけ。
「ありがとうございました。もう大丈夫です。落ち着きました」
急いで起き上がろうとすると、福禄寿が私の肩を優しく押さえ、それをせいした。
「無理はしない方がいいですよ?まだ、顔色が良くありません。最近、いろいろな事が有りましたから。もしかしたら、例の光りの事とも、関係があるのかも知れませんし。今はゆっくり休んで下さい」
福禄寿は、そう私に促すと、ふわりと布団を掛け直した。
「でも……何か申し訳ないです」
いたたまれなさに、思わず口についた。
私はいつだって足手まといだ。
皆に警護をさせといて、肝心な私は、何一つ変化が見れないのだから。
これじゃあ、無駄に守らせているだけ……。
そう思うと、とても顔を向ける事が出来ない。
「何を言っているのですか、私こそ感謝しているんですよ。蛯原君と黒崎君は、以前に増して絆が深まりましたから。咲さんのお陰です。咲さんが、いたからこそですよ?」
福禄寿は、落ち着いた声でそう言うと、私の頭を丁寧に撫でる。
「そう……ですかね……」
「そうですよ。誰だって具合が悪ければ、よからぬ事を考えてしまうものです。ぐっすり休んだら、気が直るかもしれませんね」
福禄寿はなだめるように微笑むと、仕切りのカーテンを優しく閉めた。
そうなのかな……。
身体がダルいのは、本当だし……ここは、福禄寿の言葉に甘えてしまおう……。
私はゆっくりと目をつぶると、一瞬にして深い眠りに墜ちていった。