「気を付けて帰るんだよ」


私は振り返り、いつまでも見送るお祖父ちゃんに、大きく手を振り返す。


「うん!大丈夫だよ~近いんだから~」


私の名前は櫻井咲。桜ヶ丘高校に通う、2年生。

そして、私のお祖父ちゃんの家業は、古くから代々伝わる、由緒ある道場。

私は、幼い頃からこの道場に通い、剣道の実力で右にでるものはいない程になった。

数々の大会で優勝もしている。

剣道に関しては、絶対、誰にも負けない自信があった。


それなのに――


この日の私は、油断をしていたんだ――。