嵐のような喧嘩
彼と逢うのは
実に二ヵ月振り

『大事な話がある』

一通のメール

一枚の写真を眺める
佳代が彼の頬にキス
彼の照れた表情
一番のお気に入り

今日は
特別な日になるだろう
予感めいた佳代は念入りにメイクを施した

あの頃のしあわせ
身体中で懐かしさを感じた

街角のブランドショップの前
彼にメールを打った

一分も経っていない
『もうすぐ着く』との返信

彼のメール
いつも短文
絵文字なんてみたことがなかった

ショウウインドウに
写った自分をみる
佳代は前髪を整えた

後ろで
クラクションが
短く二回鳴った

振り向くと
彼が軽く手をあげた

仕事帰りの彼
汚れた作業着

助手席に乗り込むと

「待った?」
彼ののぶとい声

「うぅん」
佳代は
短くかぶりを振る